介護施設から戻らない親、家で医療費捻出!
公開日:2024年05月23日
私は、「売るか貸すか迷っている」という相談を受ける時や、家を査定する時、売買の現場などでお客さまにお会いします。ある一軒家の売却の際...
親が介護施設に入所!介護医療費捻出したい!親の不動産はあるけど何とかなる?
ポイント
①親の家を「貸す」「売る」で、介護費用を捻出することができる
②「家を貸す」と、家賃収入があり、家の再利用も可能
③「家を売る」と、手間がかかるが、まとまった金額が手に入る
私は、「売るか貸すか迷っている」という相談を受ける時や、家を査定する時、売買の現場などでお客さまにお会いします。ある一軒家の売却の際、お客さまに「なんで家を売るのですか?」と質問したことがありました。その方は、「親が介護施設に入所してしまい、誰もこの家を使わないので」と話してくれました。これは、多くの方が経験することなのかもしれないな、と思ったものです。
親が寝たきりの状態などで、介護施設に入所してもう出てくることはないという場合、親の家をどうしたらいいのでしょうか?
介護は思っていたよりもお金がかかることもあります。介護やお金についてはプライベートなことなので「相談しにくいとか」「どこに相談したらいいのか分からない」という方もいらっしゃるかと思います。でも介護もお金も、先延ばしにできる問題ではありませんから、素早く円滑に解決したいですよね。
さて、そのような状況で、ちょっと冷たく聞こえてしまうかもしれないのですが、不動産屋としてご提案できるのは、その不動産を「貸す」か「売る」ということです。これは、もし両親があまりお金をもっておらず、介護費用を捻出したいというときにも有効です。
でも、空き家になった両親の家をどうにかするということは、親も自分も思い出がある場所なので、さまざまな感情が湧き上がってきます。そんな感情や状況が入り乱れるなかですが、どうにかしなければならない……。悩んでしまう人も多いかもしれませんね。
思い出があればあるほど手放しにくかったり、悲しい感情が浮かんできたり、簡単には踏み切れないかもしれません。「売る」「貸す」を選ばなければならない状況になった時、悲しい気持ちや切ない気持ちを少しでも軽くするためにできることは、家の写真を撮影するとか、手元に何か家の思い出を残すことなのかなと思います。
さてそれでは、「貸す」「売る」をするとどのような結果になるのか。それぞれのメリット・デメリットについてお話ししていきます。まずは貸す場合から。貸す場合にはまず、人に貸せる程度に荷物を撤去する必要があります。洋服、 食器、アルバムなど個人に紐づくものは撤去します。
貸すメリット・デメリット
貸すメリットは、「安定的な収入がある」「物件の再利用ができる」ということです。貸すデメリットは「まとまった金額にはならない」「20年以上塗りなおしていない外壁や屋根、エアコンや給湯器などの機械系の修繕が必要」「直接貸した場合、管理が必要」「固定資産税がかかる」などがあります。
細かく説明していきますね。メリットについては特に説明はいらないかと思いますが、物件を手放すわけではないので、また利用できるというのがいいところですよね。デメリットの「まとまった金額にならない」というのは、例えば家賃が毎月6万5,000円だとしたら、年間で78万円ほど。介護費などに充てるには足りないかもしれません。「管理が必要」というのは、不動産会社などに管理を頼まず直接貸した場合です。特に古い物件だと、蜂が出たとか虫が出た、なんてことで苦情を言ってくる人もいるので、それに対応するのはちょっと大変かもしれません。
売るメリット・デメリット
それでは売る場合。貸す時同様、ある程度(できれば全部)荷物を撤去します。売るメリットは「まとまった金額が手に入る」「管理の手間がない」です。売るデメリットは「物件を完全に手放すので返ってこない」「貸す時よりもそろえる書類が多い」です。
売るメリットの「まとまった金額」は、その家により違いますが春日部市内だと500万円~1000万円くらいのまとまった金額が入ることもあります。デメリットの「書類が多い」ですが、土地の面積や境界の確認など、測量の必要があることや、納税通知書、登記識別情報(権利証)を準備する必要があるなど、書類や手続きが多いです。委任状をご準備いただければ、不動産会社がそろえることができる書類もありますので、そこまで心配する必要はありません。
どちらの方法を選ぶのかは、お一人お一人の状況に合わせてで良いと思います。どちらにせよ、所有者(親など)の了解がないとできませんので、タイミングを見計らって「この家どうする?」などと親に尋ねておきましょう。そして、いざ売るか貸すかの状況になった場合、医療費や入所にかかる費用などをリアルに算出して整理すれば、冷静な判断ができると思います。不動産屋に近隣の相場を尋ねるとか、査定を依頼して、売った時はその家がどれくらいの金額になるかなど分かっていると選択肢が増えていいです。査定はおおむねどこも無料でしているので、お気軽にお声がけくださいね。