相続した家をそのまま放置したらどうなる?
公開日:2024年06月18日
両親から家を相続したけれど、何となくそのままにしてしまっている方、またはそのままにしちゃいそう……
相続した両親の家を空き家のまま放置しているけど、問題ないよね?
ポイント
①相続した空き家を維持管理するには結構費用がかかる
②崩れそうな空き家の放置はペナルティもある
③空き家の荷物整理から始めると、次に進みやすい
両親から家を相続したけれど、何となくそのままにしてしまっている方、またはそのままにしちゃいそう……なんて方、いらっしゃいませんか?確かに、自分が住むわけでもないし、今すぐ売るとかでなければ、「空き家の固定資産税くらいは支払えるし、毎日忙しいから、ちょっとそのままにしておこう」という気持ちはすんごくよく分かります!
実は最近……といっても2015年に、空き家の適正な管理をするための法律が施行されました。空家等対策の推進に関する特別措置法というものです。しかし、少子化や団塊世代の高齢化などもあり空き家は増える一方。それに歯止めをかけるため、2023年12月には、改正空き家法がスタートしました。壁や窓の一部が腐食・破損や、雑草や枯草が多いなどの空き家は「管理不全空き家」に認定され、罰則金のペナルティが発生することもあるようです。
主な費用一覧
「管理不全空き家」より危険な状態は「特定空き家」といいます。そのような状態の空き家を所有している人はほとんどいないとは思いますが、どちらかに認定されないとしても、ただ空き家を所有しているだけでもかなり費用がかかります。何にどれくらいの費用がかかるのか書いてみますね。
固定資産税……5〜10万円/年
雨漏り防止など外壁の維持管理……120万円程度(15~20年に1回)
庭などの草刈りをシルバー人材センターに頼む……1回2~3万程度
4メートル以上の木の剪定(植木屋さんに依頼)……日当2万円程度
遠くて見に行けない場合、空き家の見回りをしてくれる会社もある……有料
電気代や水道代……止めておけばお金かかりません
ざっくり書き出しましたが、細かく見ていくとまだまだあります。新井的には、空き家の固定資産税を支払うということは、違反もしていないのに、車の違反切符を払っているような感じがしてしまいます。外壁など管理はしなくてもいいだろうと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、空き家状態で放置していると、傷みが早くなります。そして、もし雨漏りした場合、塗装や腐った屋根、柱の修復が必要になります。木は濡れるとシロアリが食べやすくなるので、シロアリ対策もしなければならないなど、連鎖的に費用が発生し、相当な金額になります。トホホ……泣
細かい管理もある
建物以外ですと庭の草木も伸びてきますね。草木が伸びるだけならまだしも、実は空き家と分かるような家には、空き巣が家財を盗みに入ります。さらに、庭が荒れているとゴミが捨てられ、次々に捨てる人が現れ、何だか本当にいいことにならないのです。行政が法改正したのも、空き家が増え、このように社会問題化しているからでしょうね。
空き家を放置する理由には、その空き家に用事がないので足が遠のくということだけではなく、親が一生懸命建てた大切な家だから、何となく手をつけにくい……という気持ちの問題もあるかもしれません。家族の想いをよく知っているからこそ、ですよね。でも、親には感謝しながらも、使う用途がなく、ゆくゆく使うこともないとなれば、何かしら対処する必要があります。
何かしらの対処に一歩踏み出すために、私がおすすめするのは、まずは空き家を維持するには何が必要か、費用はどれくらいかかるのかなどをシュミレーションしてみることです。そして、手放す方向に定まった場合に次にすることは、荷物の処分。
これまた、気が進まないことかもしれませんが、家具、衣類、金融資産など、家にあるものを処分していくと、次の段階に進みやすくなります。仏壇や神棚などは近所のお寺さんなどに相談してみましょう。思い出の品など以外は業者に処理を依頼する方法もありますね。
私が相談を受ける中でも、「荷物どうしよう」とその段階で止まってしまう人が多いです。そんな時は「大切なものだけは取っていただいて、あとはこちらで処分しますよ」とお伝えすると、晴れやかなお顔になる方が多いです。
さて、長々と書いてきましたが、私としては維持管理の手間暇、また費用もかかるので、両親の家を守れないという罪悪感はあるかもしれませんが、空き家を持っているメリットはないと思います。今空き家を所有している方は、荷物の整理から始めてみてください。また、まだご両親は健在だけど遠方にいる場合などは、近くのマンションに移り住んでもらうなどして、徐々に荷物の整理をしていくという方法もあります。問題を先送りせず、できることから始めてみてください。何かお困りごとがあれば、ご相談くださいね。